アンソ - ピレネー山脈西部の美しい伝統建築の村

ウエスカ県のピレネー山脈西部に位置するアンソは、石畳の通りに平瓦屋根の古い建物が立ち並ぶ美しい村です。ピレネー山脈で最もよく保存されていると言われる建築群は、アラゴン州政府の重要文化財にも指定されています。

村の近くにはピレネーの雄大な自然を満喫できるスポットも多く、ハイキングを楽しみたい方にもおすすめです。大自然に囲まれた伝統ある村、アンソを散策してみましょう。

アンソの位置

アンソはウエスカ県の北西部、ピレネー山脈西部にあるベラル川沿いの渓谷に位置しています。

ウエスカ県の県都ウエスカ市からは約110km。フランスとの国境までは約20㎞の距離にあります。

アンソの歴史

アンソ渓谷に人々が定住したのは9世紀頃。12世紀に入るとアラゴン王国の領土の一部となりました。フランス国境が近いことから、アンソの住民とフランス圏の住民との間で、国境周辺の放牧権と泉の使用を巡った争いが続いていました。1375年に条約が締結されるまで、アンソ周辺は防御要所としてアラゴン国王の兵士が配置されていました。

村に残る多くの歴史的建造物は16世紀頃に建てられたものです。アンソはピレネー山脈の典型的な集落が大変良い状態で保存されていることで知られており、石造りの伝統的な家々や石畳の狭い通りに中世の面影を見出すことができます。

アンソの地図

人口400人のアンソの村は、東西わずか170m、南北に500ⅿ程とコンパクト。

バスや電車ではアクセスできないため、旅行者の多くは自家用車かレンタカーで訪れます。

市街地の東にある駐車場に車を停められます。

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アンソの歩き方&見どころ

アンソの観光案内所は市街地の中心部のドミンコ・ミラル広場にあります。ここからスタートし、アンソの美しい村を散策しましょう。

【歴史的建築群】

アンソ観光で見逃せないのが、アラゴン州政府の文化遺産にも指定されている歴史的建築群でしょう。木材やタイルをアクセントにした石造りの家々の間には、アルテア “arteas” もしくは、カジッソ “callizos” と呼ばれるわずか50cmほどの狭い廊下があるのが特徴です。

伝統的なアンソ風建築の例は、サン・ペドロ教区教会の近くにあるカサ・アントン(地図47番)やカサ・モレネ(46番)、アリゴ通り沿いのカサ・カバリエ(44番)とリンコン・デ・オルナット(45番)、マヨール通り沿いにあるリンコン・デ・アニメタス(42番)など。カサ・モレネは、展示ホールとして一般公開されています。

【中世の塔(Torreón Medieval)】

ドミンコ・ミラル広場からナバラ通りを西へ向かうと、4階建ての四角塔が見えてきます。15世紀にナバラ女王ブランカ2世が王位を剥奪された後に投獄された場所と言い伝えられていますが、この堅牢な石造りの塔は16世紀に建てられたものです。村の西端にあるこの塔は、ピレネー地帯の防御ネットワークの一部として建設され、ナバラ方向からアンソへの侵入に対する防衛を担っていました。

【サン・ペドロ教区教会(Iglesia de San Pedro)】

中世の塔からサン・ペドロ通りを道なりに南東へ進むと、周囲の建物を圧倒する壮大なサン・ペドロ教区教会があります。16世紀後半に建設されたゴシック様式の教会は、今も昔も村のシンボルです。

外観は石造りで武骨な印象ですが、教会の中に足を踏み入れると、金箔で覆われたバロック様式の主祭壇画に圧倒されます。17世紀に入ってから作られたもので、司教の玉座に座る聖ペテロの像があり、両側には洗礼者聖ヨハネと聖パウロの彫刻が置かれています。

教会内には博物館もあり、17世紀から18世紀のバロック様式やロココ様式の聖具などが展示されています。

【アンソの伝統衣装祭(Día del Traje Ansotano)】

アンソの民族衣装は中世を起源としており、ヨーロッパでも最も古い民族衣装のひとつ。1930年頃までは、住民の多くが日常的に伝統衣装を着用していたそうです。

毎年8月の最終日曜日には、アンソの伝統衣装祭が行われます。伝統的な衣装を着た村人たちにより、村の伝統的な暮らしに関するデモンストレーションが行われます。また、アラゴン地方に伝わる伝統的な音楽や踊り、パレード、アンソ地区の代表的な食材を使った料理の試食も行われます。

1971年から始まったこのお祭りは2011年には国の文化財に登録され、現在では国内外から多くの観光客が集まる人気のお祭りとなっています。

【アンソ民族衣装博物館(Museo del Traje Ansotano)】

リンコン・デ・アニメタスからマヨール通りを北に少し行くと、アンソ民族衣装博物館があります。古民家を改造したこじんまりとした博物館ですが、アンソ渓谷の伝統的な民族衣装の移り変わりが展示されています。

【アンソ村から往復ハイキング】

村をのんびり散策したら、村から少し足を延ばしてハイキングをするのも良いでしょう。

アンソ村からスタートし、2時間~4時間ほどで楽しめる往復ハイキングルートがあります。

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オクシデンタレス渓谷自然公園(Parque Natural de los Valles Occidentales)

アンソの周辺にはハイキングを楽しめるスポットが多くあります。市街地観光の後は、ピレネーの雄大な自然を満喫しに、ハイキングへ出かけてみませんか?

アンソは、27,000 ヘクタール以上もの広大な敷地を持つオクシデンタレス渓谷自然公園の近くにある村です。ピレネーの山々と氷河由来の大きな谷の合間に、手つかずの雄大な自然が残っています。アンソから行きやすい公園内の人気ハイキングコースは、アグアス・トゥエルタス渓谷のルートとガムエタの森ルートです。

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【アグアス・トゥエルタス渓谷(Valle de Aguas Tuertas)】

オクシデンタレス渓谷の中心部にあるアグアス・トゥエルタス渓谷は、アラゴン・スボルダン川が蛇行する谷間の独創的な景観が楽しめるハイキングスポットです。ハイキングコース周辺には古墳や神秘的な巨石建造物が数多く発見されています。最も有名なのは、「アグアス・トゥエルタス・ドルメン」と呼ばれる巨石建造物で、渓谷の入り口、標高 1,600mの場所に位置しています。小さなゴブリンが住んでいるという言い伝えがあり、訪問者にいたずらをすると言われています。

アンソからはA-176経由で約32km、車で約45分の距離にあるグアリンサの駐車場に駐車可能。ハイキングコースは初心者でも歩きやすく、片道45分程度です。

【ガムエタの森(Bosque de Gamueta)】

ガムエタの森は、ブナやモミの木が生い茂る美しい森です。シジュウカラ、モリフクロウ、オオキツツキなどの野鳥も観察できます。アチャル・デル・カバロの丘あたりではなだらかな牧草地を進み、ベラル川と平行に走る道を通って駐車場に戻れます。さらにペトレヘマ峡谷に沿って進み、小さなリンサの滝まで足を延ばしてみるのも良いでしょう。 ガムエタの森へは、アンソから北へ約19km。広々としたリンサ小屋の公共駐車場に駐車可能です

アンソへの行き方

自家用車もしくはレンタカーでアクセスできます。

車で行く


A-132 と A-176 経由

1 時間 40 分

アンソ

車で行く


サラゴサ

A-23経由

2時間15分

アンソ

車で行く


マドリッド

A-2 経由

約5時間半

アンソ

アンソの基本情報

ウエスカ県の観光地図

ウエスカ県の観光地図をこちらのリンクからダウンロードすることができます。