エッチョ - ピレネー山脈の雄大な景色を臨む渓谷の村

アンソから約12km西にあるエッチョ村は、ピレネー山脈の雄大な山々に囲まれ雄大な景色を楽しめる渓谷の村です。

石畳の通りに石造りの3~4階建ての建物が立ち並ぶ村では、約520人の村民が伝統や文化を大切に守りながら静かな暮らしを送っています。

村の周辺にはハイキングコースも多く、ピレネーの雄大な自然を満喫できます。

今回はゆったりとした時間が流れるエッチョ村を、のんびり散策してみましょう。

エッチョの位置

エッチョ村はウエスカ県の北西部、ピレネー山脈西部にあるアラゴン・スポルダン川沿いの渓谷に位置しています。

ウエスカ県の県都ウエスカ市からは北へ約98km、アラゴン王国が築いた城塞都市ハカからは北西へ約43kmの距離にあり、フランス国境に接するオクシデンタレス渓谷自然公園の南に位置し、ピレネー山脈と渓谷の豊かな自然に恵まれたエリアです。

エッチョ村の歴史

エッチョ渓谷のアラゴン・スボルダン川やその支流周辺には、紀元前3000年頃に作られたとされる巨石の記念碑が多く残っています。また矢尻や石器なども発掘されており、古くから定住していた人たちがいたことが分かります。ローマ時代には、サラゴサとフランスを結ぶ街道が作られ、馬車も多く行き交いしていました。

アラゴン王国の時代には、833年にガリンド1世アズナレス伯爵がエッチョ渓谷に居を構え、エッチョ村の北にサン・ペドロ・デ・シレサ修道院を設立しました。19世紀初頭のスペイン独立戦争では、アラゴンに進軍したナポレオン軍により、村が焼き払われるという悲劇に見舞われました。

エッチョ村の歩き方&見どころ

標高1,000m~1,800mの岩山に囲まれたエッチョ村へは、A-176を通って市街地へ入っていきます。サン・アントン通りから左折してカレテラ・デ・オサ通りに入ってすぐ左手に、村の観光案内所があります。通り沿いには何カ所か駐車できるエリアがあるので、まずは観光案内所を訪れて村の情報を手に入れましょう。

サン・マルティン教区教会(Iglesia de San Martín)

現存するサン・マルティン教会は、独立戦争中に被害を受けた後、1829年から1833年にかけて再建されたものです。17世紀初頭のロマネスク様式の建物をもとに建てられており、南側に鐘楼のある石造りの堅牢な外観の教会です。戦争で元の祭壇画も破壊されたため、近くにあるメルセダリオス・デル・ピラール修道院にあった18世紀前半の祭壇画が持ち込まれました。

カーサ・マソ 民族学博物館(Museo Etnológico Casa Mazo)

サン・マルティン教会からムロ通りを経てアイレ通りに入るとすぐ、小さな石造り2階建ての建物があります。カーサ・マソと呼ばれるこの建物の中にある民族学博物館では、エッチョ渓谷周辺の人たちがどのような暮らしをしてきたのかが展示されています。館内の内装は伝統的な家屋を再現しており、薪ストーブ、アンティーク家具、農具、楽器などが置かれています。また、ウエスカ出身の写真家リカルド・コンパイレが20世紀初頭に撮影した、白黒写真のコレクションも必見です。

エッチョ野外現代美術(Museo de Arte Contemporáneo al aire libre)

1975年から1984年にかけて、エッチョ村では彫刻と芸術の国際シンポジウムが開催されました。国際シンポジウムの期間中は、村民や旅行者のためにコンサート、演劇、会議など、さまざまな文化イベントが催されました。その一環として、原田哲夫、バーナード・ジョナー、パトリック・レスネ、山畑利嗣、ペドロ・トラムラスによるモダンな彫刻が村のあちこちに建設されました。現在でも、観光案内所の建物の裏などに点在しています。雄大なピレネー山脈をバックグラウンドに、伝統的な家屋が立ち並ぶ村の中で鑑賞できるモダンアートは、美術館内で楽しむものとはまた一味違った面白さがあります。

エッチョ村から足を延ばして

エッチョ村周辺にも、時間があればぜひ訪れたいスポットが多くあります。エッチョ村を一巡りした後は、エッチョ村から少し足を延ばしてみてください。

サン・ペドロ・デ・シレサ修道院(Abbey of San Pedro de Siresa)

エッチョ村から北へ約2.4kmの位置にある小さな村シレサの中心にあるサン・ペドロ・デ・シレサ修道院は、9世紀に設立されました。現在の建物は、11世紀後半から12世紀にかけて建設されたもので、フランスのロマネスク様式の影響を受けています。修道院はラテン十字の平面図をしており、外側は多角形ですが内側には半円形の後陣があります。

ゴシック様式のキリスト十字架像や、ブラスコ・デ・グラニエンブラスサンティアゴの祭壇画)、洗礼者聖ヨハネの祭壇画など、13世紀から15世紀に作られたキリスト教芸術も見ごたえがあります。

オクシデンタレス渓谷自然公園(Parque Natural de los Valles Occidentales)

オクシデンタレス渓谷自然公園は、ピレネー山脈の北西端に位置するアラゴン北部屈指の自然公園です。敷地は27,000ヘクタール以上と広大で、ヘチョ渓谷も自然公園の中に位置しています。ピレネーの山々と氷河由来の大きな谷の合間に、手つかずの雄大な自然が残っており、特に夏場はハイキング客で賑わいます。

オクシデンタレス渓谷自然公園でエッチョ村からアクセスしやすいおすすめのハイキングコースは、アグアス・トゥエルタス川のハイキングコースです。初心者やお子様連れでもハイキングしやすい往復6kmのコースで、広大な平原や緑の牧草地の中をゆったりと蛇行し流れるアラゴン・スボルダン川の風景を楽しめます。

アンソ村 (Ansó)

エッチョから車で約16分の一にあるアンソ村は、旧市街地の歴史的建築群が有名な美しい村です。旧市街地の中心には壮大なゴシック様式の教会、サン・ペドロ教区教会があります。外観は武骨な石造りの教会ですが、インテリアは金箔をふんだんに使った荘厳なバロック様式の主祭壇があり、訪れる人を驚かせます。教会内にある美術館では、17世紀から18世紀のバロック様式やロココ様式の聖具なども展示しているので、時間がある方はぜひ覗いてみてください。

アンソの村

アンソへの行き方

自家用車もしくはレンタカーでアクセスできます。

車で行く


A-132経由

1 時間 45 分

エッチョ

車で行く


サラゴサ

A-132とA-23経由

2時間05分

エッチョ

車で行く


バルセロナ

A-22とA-2経由

約4時間半

エッチョ

アンソの基本情報

エッチョ Hecho

人口 約520人

標高 800m

ウェブサイト https://turismovalledehecho.com/

ウエスカ県の観光地図

ウエスカ県の観光地図をこちらのリンクからダウンロードすることができます。